厚労省での規制強化に向けての検討内容

今回は、最新の美容医療界のニュースを取り上げたいと思います。
昨今、美容医療界で発生している様々な問題に対処するべく、厚生労働省内では、美容医療の適切な実施に関する検討会|厚生労働省、という有識者による検討会が進行中です。
ここでは、美容医療の「安全」の向上のために、
・医療機関の報告や公表の仕組み導入
・保健所による立ち入り検査や指導プロセスと法的根拠の明確化
・診療録の記載充実
・オンライン診療のルール整理
を、また、「質」の向上のために、
・関係学会によるガイドラインの策定
・医療広告規制の取り締まり強化
・行政による周知や広報を通じた国民の理解促進
に注目した対応策が進められることとなっています。今後法整備が進み、規制が進むことになると思います。
クリニックでの鎮静に関しても検討されており、全国のクリニックでの鎮静の現状がよくわかる資料がありましたので、そこだけ切り抜いて紹介したいと思います。
2024年10月18日に開催された第3回では、検討会のために報告書が作成されておりだれでも見ることができます。
野村総合研究所に厚労省が委託して、全国の2,223の医療機関向けに調査をしたものです。回答は、WEBアンケートで、期間は2024年8月20日からの1か月間、回答件数は417件でした。
美容医療における鎮静や全身麻酔に関して、以下のような課題が指摘されています。
- 経験の浅い医師によって侵襲性の高い治療が行われている
- 全身管理の経験がない医師によって全身麻酔下での手術が行われている


左の資料では、全身麻酔や静脈麻酔を併用する侵襲の大きな施術を1年未満の経験年数の医師が1人で行っている施設が17%あるということです。
右の資料では、全身麻酔や静脈麻酔を併用する施術を1人で行うまでの実施件数が20件未満の施設が50%近くあることがわかります。
全身麻酔をしているということは、麻酔科医が立ち会っている、ということだと想像しますが、静脈麻酔で施術しているということは、必ずしもそうではなく、鎮静をしながら経験の浅い医師が施術をしているのが現状でしょう。
また、
- 緊急時の対応ができる病院等との連携体制が構築されていない
- 麻酔下施術をおこなう医師に対する麻酔・全身管理に関する研修がない
ことも問題視されています。

上のグラフを見ると、麻酔下施術を行う医師に対する麻酔・全身管理に関する研修がないと回答した医療機関は調査対象の60%を超えており、医師の研修体制の不備が問題視されています。
これらの状況を踏まえ、厚生労働省は美容医療における全身麻酔の適切な実施に関する規制や指導の強化を検討していると考えられます。具体的な規制内容については、今後の検討会の議論や厚生労働省からの発表を注視することが重要です。
今後進展があれば、私の方からも先駆けてお知らせしていければと思います。
安全な鎮静のための整備や研修会をご検討の方はお問い合わせいただければ幸いです。